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8月13日、23時。
今日、8月13日は全ての日本人にとって特別な日だ。それもあと一時間で終わるのだが。
私はメロンソーダのような緑色に染まった左手で額の汗を拭う。既に顔はかなり汚れてるだろうが、あと少しの辛抱だ。
大きく息を吸った。マスクを着けているので、常に一定の息苦しさがある。
ぱっと見でここにいるGは20体。しかし、まだ続々と新しい個体が現れている。やはり残り1時間とあって、勢いが増している。3軒隣の浜田家もさっきまで粘っていたが、Gが家に上がっていくのが見える。今回はついに陥落してしまったようだ。
この辺りで無事なのはわが家だけだ。それでGたちが集まってきているのだろう。
私はポケットから黒い髪留めを取り出し、私の汗とGの体液で濡れている髪を後ろでくくった。髪留めには小さなさくらんぼの飾りがついている。母の形見として小さい頃から大切にしているものだ。
3体のGが横並びになり、わが家の玄関に近づいてきた。ぐらぐら身体を揺り動かしながら前進する歩行スタイルは、それで立っていることすら私には理解できない。
私は思い切って距離を詰め、右手に持った対G用特殊警棒を右端のGに対して斜めに振り降ろした。
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