8月13日、23時。

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 豆腐をずっとずっと硬くしたようなその弾力に、警棒を持っていかれそうになる。ぐっと腕に力を入れてなんとか持ち堪え、袈裟斬りにする。  返す刀で真ん中のGの胴を一文字に斬る。そして左端のやつを思いっきり蹴り倒し、警棒で頭を一突きしてから首を踏み潰した。  Gの体液がスニーカーに飛び散り、朝からの戦いで重ね塗られてきた緑色の層が更に一段増えた。今日十分に動けるよう、このスニーカーを一か月間履き慣らしてたけど、明日には捨てなきゃいけないのが寂しくなった。  日本にGが現れたのは10年前、地球に彗星が最接近した年だった。  始めは軒先で緑色をしたゴルフボール大の塊が動いていると話題になり、人々はそれが緑色(Green)であることから、Gと呼ぶようになった。そして、すべてのGが建造物の中を目指していることがわかると人々は絶対に入れるまじと、踏みに踏んで潰しまくった。  翌年Gはまた現れた。サッカーボール大となっていたので、蹴りに蹴って潰しまくった。  翌年のGは少し大きくなり、かつ形を変えた。さながら巨大な芋虫のように、身体を長く変形させ、地を這って建造物を目指した。  そうやって年々大きくなり、形を変えていくGは、4年前から4本の脚らしきものを使って動くようになり、2年前からたどたどしい2足歩行を行う個体が現れていた。     
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