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 君が空に旅立った二年目のこと。  君は信じないかもしれないが、この頃になると、私もだいぶ炊事洗濯掃除が板についてきた。  数品ならレシピを見なくても、君の作る料理の味を再現できたし、夏にはヒマワリやマリーゴールド、秋にはリンドウやキンモクセイ、ビオラなどで花壇は綺麗に賑わった。    少しずつ取り戻した生活リズムの中で、私は好きだった読書を再開した。  君の好きだった花壇を本の背景にし、木漏れ日を浴びながら縁側で読む読書は格別だった。  だが、ここでも君のいない寂しさが私を襲った。  一つ目は「はいどうぞ」と言って君が淹れてくれる緑茶がないことだ。  自分で淹れてみたが君の淹れる緑茶の味とどうも違う。何か特別なことをしていたのかもしれないが、聞く術もなく私はこれを諦めた。  二つ目は君が庭の物干し竿に洗濯をする際の『鼻歌』が聞こえないことだ。君の少し明るめの声は私の心を安心させ、いつも晴れやかにしてくれていた。  何を読むかではななく、何処で誰と読むのか。それが私にとっては重要だったのかもしれない。      
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