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「そんなことないよ」
「そんなことあるって。林くんもそう思うでしょ?」
僕に問いかける清水は、まるでいたずらっ子のような目をしている。
「そうやな」
先ほどと同じく瀬古は驚いたような顔をする。もう一度、あははと笑った後、『お先に』と言って清水は歩いて行ってしまう。
「清水に何、言われたん?」
「あ、うん、えっと、なんでもないよ」
「そうか、それなら別にええけど」
「あ、でも…」
何か言いかけると瀬古は、僕のほうを見上げた。丁寧に櫛を入れているのか、黒髪に綺麗な光沢がある。清水のほうが白目部分が青味がかっているな、ということに気づく。そんなことを考えていると、どんどん瀬古の顔が赤くなった。
「…うん、大丈夫」
何が大丈夫なのか、僕にはさっぱり分からない。
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