0.インターミッション

2/4
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/294ページ
 気持ちよさそうにくつろぐメンバーたちの中で、アーサリンとウィルマを除く全員の前に二つの山ができていた。浴槽が狭くて両膝を抱えているのではない。一流のAMパイロットの証ともいうべき豊満な胸が、お湯の持つ浮力でぷかぷかと浮かんでいるのだ。ルネやエダにいたっては、本当にバレーボールでも浮かべているのではないかと思えてくる。  ウィルマはそんなことは全く気にせず、いつものように眠そうな目でうつらうつらと船を漕いでいる。だが浮くほど胸のないアーサリンはちょっと悔しいような、目のやり場に困るかのような複雑な表情で少し落ち着かない様子だった。 「それにしても、WEUの二人が来れなかったのはちょっと気の毒だよな」  エダが漫画に出てくるおっさんのようにタオルを頭に乗せ、意地悪そうな笑みを浮かべながら(つぶや)く。そう、ここにはシャルロットと怪我による戦線離脱から復帰したジョルジーヌの二人がいない。 「ジョルジーヌさんは病み上がりですから、ここに来られたらいい湯治(とうじ)になったんですけどね」 「仕方ないわ。ジョルジーヌさんとシャルロットちゃんは技術者でもあるから……」 「新型のAM開発計画でしたっけ? えっと、なんて言ったかな……ドラゴン?」 「ええ、『ソッピース・ドラゴン』――連合軍初となる飛行型のAMよ」 「ああ、だからクリンバッハ城から離れられないんですね」  少しのぼせたのか、アルバータがお湯から上がり、浴槽の(ふち)に腰掛けながら会話に加わる。     
/294ページ

最初のコメントを投稿しよう!