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三ヶ月ほど前――ローマ共和国は突如として連合軍からの離脱を表明し、ゲルマニア帝国と同盟を結んだことを発表した。そのためフランチェスカは本国に召還され、再び戦場で出会うときは敵となる関係になってしまったのだ。
「ゲルマニアも必死なのでしょう。この半年で北のフランクフルト、東はミュンヘンやニュルンベルクまで陥落していますから」
「ローマは同盟の見返りとして、戦後は旧ルーマニアやハンガリー以南の統治権をもらうってことで合意したらしいよ」
向かいにいたジャクリーンが新聞で知った事情を遠慮がちに伝える。昔の友人と戦うことになってしまった事情を知っているだけに、彼女はアーサリンがまた心を痛めていないかと心配しているらしい。
「まあ、国同士が争うことになったからにはしゃあねえよ。せいぜい戦場で会わないように祈るしかないさ」
「そうね、私たちにできることは、一刻も早くこの戦争を終わらせることだけだわ」
「この休暇が終わったら、私たちどこへ回されるんでしたっけ?」
「ニュルンベルクの少し北……バイロイトよ」
バイロイトからゲルマニアの首都ベルリンまでは直線距離にして三百キロ余りしかない。AMが導入された戦争勃発から約四年、連合軍はついにゲルマニアの喉元に喰らいつこうとしていた。
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