0.インターミッション

1/4
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/294ページ

0.インターミッション

「はぁ~っ、こりゃいいわぁ……天国天国ぅ♪」 「エダさん……お婆ちゃんじゃないんですから」  アーサリンが(あき)れ顔でエダにツッコミを入れる。ここ数ヶ月の間にすっかり部隊に馴染(なじ)んだ彼女は、最近では仲間たちとファーストネームで呼び合うようになっていた。 「いやぁ、司令部も気が利きますよねえ。歩兵部隊の進軍が上手くいってるからって、まさか温泉で休暇を取らせてくれるだなんて」 「ウフフ、そうねえ」  クリンバッハ城が奪還されてから約半年――ルネ率いる連合軍のAM部隊は、かつてのインゴルスハイム基地からライン川を挟んで東にあるバーデン・バーデンの街にやって来ていた。長期にわたる戦いの疲れを癒すため、パイロットたちに特別休暇が与えられたのだ。  ゲルマニア帝国は数多くの温泉を持つ国ではあるが、ここはWEUと国境を接する南部でも有数のリゾート地だ。長年の戦火によって街に昔の面影はなくなっているが、人間の営みに関わらず温泉は湧き続けている。ルネたちは今、廃墟となったホテルの大浴場でお湯に浸かっていた。     
/294ページ

最初のコメントを投稿しよう!