プロローグ

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ま、ウチは元々「親の事は気にせず、自分がやりたい事をやって、進みたい道に進みなさい」という教育方針だから、別に責められたりはしなかったけど。 それはさておき、仕事を通じて二人は出会い、恋に落ち、そして今回結婚する決意を固めたというワケだ。 彼女さんはオレより一つ年下。 黒髪のショートボブで派手な洋服は好まないしお化粧も控え目なんだけれど、内側から光る洗練された美しさがあり、そして何より笑顔がとてもチャーミングな人なんだよね。 二人の交際期間は4年ほどで、その間に何度か我が家のディナーに招待しているから、当然オレとも顔見知り。 そして母さんと彼女さんはとてもウマが合うらしく、台所でキャッキャッとはしゃぎながら、食器の後片付けを一緒にしたりしていた。 だから自然の流れで、結婚後、両親と兄夫婦は同居する事となる。 そうなると、オレはとんでもないお邪魔虫。 実はオレは生まれてこのかた28年間、実家から離れて暮らした事はない。 大学も就職先も、家から1時間以内で通えるところだったから、わざわざアパートを借りたり寮暮らししたりする必要がなかったのだ。 しかし実家暮らしとはいっても、親の脛を丸かじりさせてもらっていたワケではない。 学生時代はバイト代の二割、そして就職してからは月に5万円ほど、生活費の足しとして親に献上していた。
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