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「いざとなったら使ってください。使い方は『目覚めよ!』っと、心から唱えることが大切です」
「目覚めよか、了解」
「私は一応、姿を消しておきます。会話は普通にできるのでご安心を」
「わかった。じゃあ、いくぞっ!」
戸を開けて中に入る。
暗く、物音ひとつしない静かな廊下、幸多は、心臓の振動が加速していくのが感じた。
「どこだ…」
息をするのも慎重になるほど集中する。
なぜなら、いつもここは自分たちの領域だが、今は完全に侵入者の殺害空間だからである。
床の鳴き声にさえも少し体が反応するほど神経を尖らせる。
リビングに到達する。
すると…。
「美奈っ!」
美奈がソファーの上で横になっていた。
急いで駆け寄る幸多。
「大丈夫かっ!?」
「寝ているようですね」
フレイヤが姿を消した状態で、瞬時に美奈の状態を読み取った。
『その子はしばらく起きないわよ』
リビングの角の影に少女が立っていた。
ソファーにわざと妹を眠らせて、幸多の注意を引かせ、自分の存在を隠していたようだ。
「一人だけみたいね」
フレイヤは姿を消しているため少女からは見えない。
「さて、先日の夜。ここで光が見えたのだけど天使か悪魔を召喚したんじゃないかと思って来てみたのだけど…違ったみたいね。私の天使が気配を捕らえられてないもの」
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