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16.続く悪夢
それから数時間後―。
「ん??」
あれから帰って来てカーテンを閉めずに寝てしまったのだろう。
窓から忍び込んでくる朝日の光線は、幸多を深い眠りから目覚めさせるに十分すぎる強さであった。
「朝か……」
「朝です」
「あっ……あ!?フ……フレイヤか」
「そうですが……他に誰が?妹さんと間違いでもしましたか?」
「いや……いきなりいたからびっくりしただけだよ」
幸多はベッドから起きようとはせず両手を後頭部に敷いて、枕にすると天井をそのまま見つめた。
「なぁフレイヤ?」
「何ですか?」
「昨日俺……活躍してなかったんだけど」
「あなたもそんなことを言うんですか?まったく……どれだけ活躍したいんですかもう……」
フレイヤは幸多の喉元に、いつどこから出したのかわからないが黄金の剣を突きつけた。
「いいですか、沙夜やブリュンヒルデはともかく、あなたに万が一なにかあれば私が存在できなくなるんですよ?」
「た……たしかにそうだが」
「まだ召喚の剣さえ不安定なあなたでは戦えません」
「そ……その通りだ……」
フレイヤは天井に視線を当て続ける幸多の視界を覗き混んで、
「それと、あなたを殺すのは私だけで十分です」
そう言って黄金の剣を消した。
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