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1.夜の町で
「神ってことは…ゼウスとか?」
「お兄ちゃん…どう考えても女の人だよ」
【ゼウスですか……。まぁ神と言えばみなさんそう思いますよね】
神は少し残念に思う。
「私なりには~アテナとか?」
【ゼウスやアテナはギリシャ神話ですね。残念ながら私はフレイヤです】
「ってことは………北欧神話か?」
【はい、よくご存じで。】
幸多が召喚したのは北欧神話の女神、フレイヤだった。
「天使を望んだ契約は失敗したけど結果よかったじゃん。フレイヤと契約できたんだよ!お兄ちゃん」
幸多はよかったんだか、よくわからなかった。
「俺は和原幸多。こっちは妹の美奈」
光っていた召喚陣が、やがて光を失い消えていく。
「よろしくお願いします。二人とも」
耳に柔らかく響いていた声が、普通の聞こえに変わった。
光が消えたおかげで、
長く美しい髪、
軽装…とまでではないが、そんなに厚くて重くなさそうな服装、
そして、背中に剣を背負っている。
そんなフレイヤの姿がはっきり見えるようになった。
「幸多、街を見て回りたいのですが」
幸多が時計を見ると針は深夜0時を指している。
「そうだな。夜の街を見るのも悪くないな」
「私は留守番してるから、いってらっしゃーい」
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