729人が本棚に入れています
本棚に追加
玄関の受付を10時から11時までイクミンと担当する。
「ただで豆腐ケーキ食べられるって聞いたんだけど、どこに行けばいいの?」
土曜日という事もあり、料理倶楽部の限定無料試食目当てに、保護者や近所の方が多く訪れ、受付は大忙し。
11時、受付の交代時間になった頃、
「花梨ちゃん、チアダンス部のステージは何時から?」
雅也くんと中本くんが玄関に現れた。
PTA臭強かった空気が一変に華やかになったよう。女子が、あか抜けた彼らに目が釘付けになっている。
「中本くん!」
教室に帰ろうとしていたイクミンが戻ってきた。
「遊びに来てくれたの? うちのクラスのカフェも覗いてって~」
誰の彼氏なんだ? と思うくらい中本くんに馴れ馴れしい。
「コーヒーあんの?」
「あるある! 案内するね! 」
イクミンは、雅也くんと中本くんの手を取って、中に入っていく。
「ちょ、イクミン!」
交代の時間とはいえ、次の人が来ないと代わられないのに。
「花梨ちゃん、また後でなっ」
雅也くんはイクミンに手を握られてご機嫌だ。
中本くん達につられるように女子達がゾロゾロ移動していく。
ポツン…と、受付に残された私。
次の受付係りは、なかなか現れなかった。
最初のコメントを投稿しよう!