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ついでに、茜が教えてくれた、″ 妊娠中絶 ″ の話を思い出した。
「…う、に、」
聞きたいけど、やっぱり聞けない。妊娠って言葉が重たすぎる。
「今度はウニが食いたいってか」
違う。
「ちゅう…」
「チュー?」
中本くんは、私の下顎を持って、
「したいか?」
と、からかうように聞いてきた。
「 違う」
違わないけど。
「口の中で言葉ためんなよ。 吐き出せ、言いたい事」
中本くんは笑ってはいても、目は私を貫いていて、私の言葉を待ってくれていた。
聞くなら今だ。
「あのね、真実じゃないと思ってはいるんだけど…」
恐る恐る口にした ″ 噂 ″ 話に、中本くんは苦い表情を浮かべる。
「半分、本当。半分、嘘」
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