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「じゃあ、中本病院で極秘手術ってのは…」
「違う。うち、産婦人科ねぇし」
「ご両親は知ってるの?」
「ああ。どっちの親も知ってる。向こうが家に怒鳴りこんできたから」
「う、わぁ」
話を聞いているだけでゾッときた。親には知られたくないって。
「その子とはその後も付き合ってたの?」
中本くんは首を横に振った。
「続けても良かったけど、あっちの親が拒絶したし、本人も目を合わせないくらい、俺を避けるようになったからさ」
「そう…」
「好きじゃなかったけど、もう懲りた。そのあと一年位は女には近付かなかった」
「一年あとは?」
「まぁ、たまに遊びたくなって、軽いノリの女とは遊んだ」
「……ふぅん」
遊んだっていうのは、つまり。
「だから、俺は常に避妊具は持ち歩いてんだ」
「そんなこと威張って言われても」
「男の常識だろ」
中本くんは、財布から、小さな包みを取り出して私に見せた。
「……なに?」
ラムネが入ってそうなパッケージ。
「開けてみ」
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