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「そろそろ、花梨をカフェに戻さないといけないのかな」
中本くんが時計を見て、そして私の目を見つめて言った。
ずっとこのまんまがいい。二人きりが……。
でも。行かなきゃ。
そうだ、戻る前に聞いておこう。
「中本くん」
「ん?」
「聞いていい?」
今度は私が、中本くんを強く見つめ、
「何?」
真面目な顔つきになった中本くんは、遊んでいたゴムを丸めて、ポイッと投げた。
聞いたところで、自己満足にしかならないけど。
「どうして、私と付き合えば、元カノを忘れられると思ったのかなって…」
もう、恋愛は懲りていたはず。
「聞きたい?」
中本くんが、綺麗な指をゆっくりと私の唇に沿わせてきた。
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