冷たい花

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「私、強くないよ?」 むしろ逆。 否定しても中本くんは首を横に振る。 「直感、それに体力的なもんじゃないよ」 「それでも…」 私は強くない。 人見知りで緊張しいですぐドモるし、弱味につけこまれやすい。 「わかんないならいい、俺だけが分かってれば」 中本くんは、そう言うと、 「え」 母親が小さい子供を抱くように私をハグしてきた。 中本くんの柔らかい髪が、私の耳と頬をくすぐる。 長い両腕が私の背中で交差し、力を入れる。 中本くんの硬い胸に押し付けられて、いろんな意味で苦しくなった。 苦しいのに、力強く包まれた感が心地よい。 「…やっぱ、柔け」 中本くんの唇が私の首筋を吸い始めた。
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