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くすぐったい、それに、なんか変な気持ちになってくる。
私は、体をよじって倒れそうになり、階段に手を付いた。
「ま、間違ってるよ」
「何が?」
「キ、キスする場所」
初めは首筋なんて。肝心なところ、抜けてませんか?
「あぁ…」
中本くんは目元を緩ませて、私の唇を見つめた。
「花梨の口、甘いのと辛いのと、どっちだろうな?」
そして。
唇を、私の唇にそっと重ねてきた。
思ったよりも、柔らかい感触だった。
咄嗟に目を瞑る。
「「在校生の皆さんはーー」」
さっき迄は耳に入ってこなかった、校内放送が遠くから聞こえてきた。
甘い砂糖の香りに男の人の肌の匂い、微かに感じるフルーツ系の柔軟剤の香りと、中本くんからは、いろんな匂いがした。
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