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気がつくと、タツオはジャリワット空軍基地の上空に浮かんでいた。自分の搭乗する雲山改を攻撃してきた垂直離着陸機が眼下に見える。
3Dホログラフで描かれた自分の身体を見おろすこともできた。どうせ、これは現実ではなく戦場か、あるいは自分の脳内に再現された虚像なのだろうが、戦闘服のしわまできれいに再現してあった。
「オモイ、いるか?」
タツオは戦術支援AIに呼びかけた。
「はい、指揮官。ここに」
肩口に戦闘服を着た妖精が浮きあがる。
「ぼくは死んだのか」
「はい。戦闘中の仮想の死という意味でなら、タツオは亡くなりました」
「でも、こうしてここにいる」
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