29(承前)

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今度はあからさまにオモイが笑っていた。 「わたしはルールに絶対的に縛られているので、ときどき優秀な上官が軍規をオーバールールしてくれるのが、たいへんにうれしいんです。 逆島少尉、いや逆島少将、ハッキング終了しました。対空ミサイル先駆け14、2機発射します」 どこでミサイルが発射されたのかは目視できなかった。数秒後滑走路のうえを、猛烈な勢いで飛んでくるふたつの光点があった。 雷光22はロックオンされたことに気づいて、回避行動に移ったが間にあわなかった。つぎはあのパイロットがタツオが雲山改のなかで見た光景を見ることになるのだ。 だが、ミサイル着弾の数秒前、吹き飛ぶように操縦席のキャノピーが開いて、操縦席ごとパイロットが空中に飛びだした。タツオは皮肉にいった。 「氾のパイロットでも、機体を捨てることがあるんだな」
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