2章

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「え、こんなにたくさん?」  昨日から下ごしらえをしたのだと誇らしげな祐生に戸惑う凛がそう聞いたとき、玄関の方から声がした。 「だーかーらー靴脱ぐ場所ないんだけど」  文句を言いながら居間に入ってきた露出の高い服を着たとても痩せっぽちの女性が、持っていたケーキの箱を祐生に渡す。 「こんばんは、お邪魔します」  その後に続いて入ってきた眼鏡をかけスーツを着た男性が、丁寧にお辞儀をして持参したワインやビールをテーブルに出す。それからみんな何となく近くにあった席に座った。凛も祐生に言われるままに席につく。 「自己紹介から始めましょうね」 と言う祐生に、きれいな顔立ちのしかし体重が三十キロくらいにしか見えない痩せた女の人がえーと不満の声をあげる。 「乾杯してからにしようよー」 「賛成!」と七海が言ってワインをあけ、みんなのグラスに注ぎだした。
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