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七海はもっと聞きたそうにしている凛に気づくことなく次の部屋へと進む。
「祐生の隣が私の部屋」
七海は一番端の部屋の扉を開ける。部屋の隅にアコースティックギターが置かれている。
「ギター?」
凛が聞くと七海は嬉しそうに
「そう。でも買ったばっかりでまだ全然弾けない」と笑った。
四十でギター始める人いるんだ、と凛は驚くと同時にどこか少し呆れている。
「で、こっち」
廊下を挟んだ向かいの部屋を開けると、そこはアトリエになっていた。たくさんのキャンバスが置かれ、真ん中には大きなイーゼルが立てられ、部屋全体に強烈な絵の具の匂いが充満している。
「臭いでしょ、この部屋は開けっ放しにしちゃだめね」
居間にあった絵はここで描かれたものなのかな、だとしたら誰が?
凛が今度こそ聞こうと思ったとき階下から祐生の声がした。
「菊代ちゃんたち来たよー」
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