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田中の屋台に一縷の望みを託して移動する。
「あれが、田中の屋台か。盛況に見えるが……何かおかしいな?」
屋台には客が群がっていた。全て男だ。そして、何故か地面に転がりながら悶絶する客もいる。
「高橋、タコ焼き……だよな?」
「その通りです。ですが、ただのタコ焼きではありません。あの看板をご覧下さい」
屋台の横には看板が立てかけられ、魅惑の気まぐれロシアンタコ焼きと書いてあった。どうやら、タコの代わりに別の食材が入っているらしい。
「なるほど。王道のタコ焼きに遊び心を加えたのか。タコの代わりに何が入っているか分からないというドキドキ感が味わえる。だが、それだけではないな?」
たったこれだけの仕掛けで、男共が悶え苦しむ状況になるとは思えない。
「僕にも分からないのです。田中先輩が何をしているのか……」
「よし、確かめてみよう」
佐藤と高橋は覚悟を決めて屋台に並んだ。
「佐藤主任、高橋、いらっしゃい」
信じられない光景が目に飛び込んでくる。熱々のタコ焼きを作り続けた結果だろう。田中は薄着で、無防備に胸の谷間をさらけ出していた。
「六個入りで五百円ですよ。幾つ買います?」
「五……いや、十個くれ」
「僕も十個下さい」
一秒でも長く見ていたい。
その思いから、絶対に食べきれない数を頼んでしまった。
「ありがとうございます!」
田中は嬉しそうにタコ焼きをひっくり返す。その度、胸がバインバイン揺れた。
「ばいーん……ばいーん……」
不味い、高橋が逝ってしまった。目の焦点が合わず、同じ言葉を繰り返している。
このままでは、私の理性もぶっ飛んでしまう。
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