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「は………え?」
「はなって名前だ」
唖然とした表情で手の中のウサギのぬいぐるみを見つめるのを見て、笑いを噛み殺しながらそう言った。
男子高校生の鞄の中から可愛らしいぬいぐるみ(しかも名前付き)が出てきたら、誰だってそんな反応をするだろう。
ウサギのぬいぐるみを手に只管反応に困って立ち尽くしていた。
「おまえ、こんな趣味だったのか…?」
「あ? はなは3歳の従妹からの貰いモンだよ」
当然の疑問に落ち着き払った表情のままそう言って、片手を奴に、つまりはぬいぐるみの方へと差し出した。
「おいで、はな」
優しい声で、まるで本物の動物にでも話しかけるようなトーンでそう言った瞬間、手の中にいたぬいぐるみがふわりと浮き上がる。
「っ!!?」
驚く周囲を尻目に、ぬいぐるみはそのままふわふわと俺の手の中へと移動する。
「な、な……」
驚き目を見張るその顔をニヤニヤと眺めていると、少し離れたところから歓声が上がった。
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