首輪の恐怖

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首輪の恐怖

「……っ…ぅ……ん……ん…」  アルと同じ軍服を着たガタイの良い男にテーブルにうつ伏せに押さえつけられ、そいつの陰茎が俺の中を行き来していた。  叩きつけられるような抽送に、内臓や肺を圧迫されて、塞いでいても口から音が漏れる。  久し振りのその行為に多少穴が痛んだが、暴力を振るわれるよりはましだった。    それは昼前の事。  アルが外出中にリビングでぼんやりと過ごしていた。棚の本に紛れるようにしてしまわれている小さい箱の装飾に、濁流に飛び込んだ時に見た蝶の彫が入れてあるのを見て、俺は引き付けられる様にその箱を手に取った。  俺はその蝶の彫に指を這わせ、これに何の意味があるのかと考えていた。  すると、その男が急にリビングに入ってきたのだ。俺の手にある箱を見ながら何か言っていたけれど、言うまでもなく分からなかった。  俺が首を振ると、髪を掴んできて、詰め寄るように何かを喚いてきた。  こわいこわいこわい。   ただ恐怖から逃れるために男のベルトに手をかけた。これをすれば殴られる確率は減る。  男も満足そうにニヤリと笑い、性器を口の前に差し出してきた。  ああ、最初からこうすればよかったのか。     
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