笑いなよ?

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高校に着くと 8時7分になっており、入学式が始まる8時10分にはギリギリ間に合ったが先生には怒られた。 俺はその日、 入学初日から遅刻した男として有名になった。 入学式を終え、 クラスでの自己紹介を終え辱めを受けた俺は、 休み時間の間校内をフラついていた。 「はは……入学初日から有名人って、 涼が聞いたらめちゃくちゃネタにされそうだな……」 ショックでフラフラしていると、 後ろから声をかけられた。 何だろう…… 静かで、心が安らぐような優しい声だった。 「君、 新入生だよね。 もうすぐHRの時間なのに2年の校舎居て大丈夫なのか?」 声とは逆に、 いやまあ大人しそうだけども……明らかに感情が無いんじゃないかってほど無表情で、日本人形みたいに髪の毛が長く、 それでいて顔もスタイルも(俺的には)いい女性が立っていた。 てか、え? もうそんな時間? てか俺いつの間にか1年校舎出てたの? うおぉ……ヤベェ。 2年のってことは先輩だよな。 良い印象与えたかったけど失敗したな……てか失敗し過ぎだろ俺。 「先輩名前は?」 ごく普通に聞いてみた。 「赤薙 侑梨菜(あかなぎ ゆりな)」 ごく普通に返ってきた。 「侑梨菜先輩ありがとう! またね!」 「また」 馴れ馴れしいことを忘れて走り去る俺に侑梨菜先輩は二文字で返事をした。 しかも無表情で。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 数時間後、 俺はクラスの誰とも会話も出来ず最悪のスタートを切っていた。 辺りを見渡せば幾つかのグループは出来ているというのに……虚しい悲しい切ない下らない(俺が) 「あ、 そうだ」 アホなことを考えてる途中に浮かんできたのはアノ先輩の顔だった。 無表情だし、 何考えてるか分からないのが記憶に残りすぎて気になってきたのだ。 俺はアホ丸出し……って何だよ。 とにかく急に元気よく立ち上がり、 担任となった女教師の所へ向かった。 「先生、 2年生で 赤薙 侑梨菜って人、いるじゃないですか、あの無表情の……」 自分で失礼だと思ったが、それしか思いつかなかった。 先生は頭を掻き毟ると、『アイツか』 と溜息をついた。 あれ? もしかして問題児だとか……?
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