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──キキッ
ブレーキ音と共に黒くて大きな車が、こじんまりとした職場の側に止まった。
運転席から男が降りてきたかと思うと、男は後部座席のドアを開けた。
「おー、もしかしてあれっすか。」
「そうそう。ちょっと俺行ってくるな。」
「うっす。」
福井さんが駆け寄ると、後部座席から高そうなスーツを身に纏ったサングラスの男が出てきた。
背丈は俺よりは高そうで、体つきもしっかりしていて俺より鳶に向いているかもしれない。
カッコつけたようなサングラスは鼻につくけれど。
「えっと、貴方がここの社長さんの福井さんですか?」
「あ、はいそうです。」
取引先の息子だという男と福井さんの会話が少し聞こえてくる。
男の声は福井さんより低くて少し威圧感がある。
年下とは思えないくらいに落ち着いていた。
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