出逢い

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「えっと…俺の名刺はあとでいいですか? 今持ってなくて。」 少し探すそぶりを見せ、ぽんぽんとつなぎのポケット辺りをわざとらしく叩く。 そして外国人のように肩をすくめて、両手の手のひらを上に向けて見せた。 「あ、おまっ…」 「いっ…!」 バチンと頭を叩かれて、コーヒーを飲んでいないのに目が覚めた。 「福井さんいたいっす…パワハラ。」 「お前がジェスチャーなんか使うからだ。 目上の人にたいしての態度がなってない。」 「福井さん普段怒んないじゃないすか…。」 「レベルが違うだろ。」 そう言ってため息をつく福井さんと俺の間に御曹司の男…葉山が割りいってきた。 「では行きましょうか。」 そう言って葉山は俺の背中をぐいぐいと押して福井さんと俺を引き剥がす。 福井さんに注意をされたあとでもあるので俺は借りてきた猫のようにおとなしく葉山さんに連れられ車に乗せられた。 車の内装は、外見同様やはり高そうなものだった。 「えっと、ところでどこいくんすか…?」 「内緒です。」 ふふっと男は笑って答えた。 何も言われずに車に乗させられて、正直不安しかない。 昼御飯を食べ損ねてお腹も空いているのでできるだけ手短に済ませてほしい。 わざわざ俺が出向かなければならないということは何か大事な用があるのだろうけれど。 会社じゃできないような話なのだろうか。 「はぁ、そうですか…。」
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