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――カチッ。
宇治木がDVDをドライブに挿しこむと、画面上にメディアプレイヤーの扉が出現。
「何かの映像みたいだね」
特に構えず、再生をクリックすると……。
「っ?」
「ッ!?」
映しだしたのは、狭い一室に置かれたシングルベッドで絡まる男女の身体。
真っ白なシーツの上に、漆黒の長い髪をした四肢の無い女性。男はさらにその上で、汗まみれになりながら激しく腰を振っている。
《『どうだ? あ゛? なんとか言え゛!』》
女性は何度も頬を叩かれたが、人形のように表情一つ変えない。
まるで、痛みも苦しみも忘れ去った生きる屍。
「う゛っ゛!」
俺は身体の奥底からの激昂を感じ、山小屋を飛びだした。
――ズザザザザッ。
枯れた落ち葉へ滑りこんで膝をつき、大地に胃液をまき散らす。
それでもなお、怒りは込みあがっていた。
「ぅ゛え゛――ッ……グズ」
DVDに収められていたのは、磨理子が性の玩具にされている一部始終。
その映像が、俺なりに貫こうとした正義はいかに浅はかだったかを報せてくれた。
悲しかっただろう。辛かっただろう。底知れぬ恨みが歪んだ世の中に向けられても仕方がない。
これまで想像に過ぎなかった磨理子の怨念。
視覚から直接的に俺の自我を壊し、より彼女に近づいてゆく。
「っう゛……磨理子さん」
許せない。許せない、許せない。
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