72人が本棚に入れています
本棚に追加
3年1組の保護者の多くは学校に寄付をしているそうだ。
そのため、クラスに問題があれば、簡単に教師を切ることができる影響力を持っている。
大人の事情というやつで、私を守ってくれるモノはこれでなくなった。
ゴミ箱扱いで紙クズを投げつけられていても、保健室に通うことが多くなってきても、畑山は知らぬ存ぜぬ見て見ぬフリを貫き通した。
こんなのが優秀な教師として評価されているなんて、日本の教育は歪んでいる。
それからも至れり尽くせりのいじめを経験したが、物事を俯瞰で捉えて論理的に考える私は、自らにしょうがないと説き伏せた。
見た目が醜くて、性格が暗いから。
人間はそういう生き物だから。
世の中はこう。
とあきらめたら、怒りや憎しみに行きつかない。
まして、死にたいという感情も一切なかった。
今となっては落ちぶれていても、私を産んで育ててくれた母がいるからだ。
自殺は最大の裏切り。それこそ愚かな人間のすることだと、状況を打破する選択肢にはならなかった。
そこで挙げられたのは、そらに会いに行くという選択肢。
彼女に勇気をもらえたら、何かを変えられるかもしれない。
本気で考えたが、その度に「恐い」という思いに苛まれた。
拒絶されたらどうしよう。
『誰?』
なんて言われるかもしれない。
最終的に、こう自己完結。
『筆箱壊れちゃったし……』
もし会えて、
『あの筆箱、まだ大事に使ってくれてる?』
と明るく言われたら、返す言葉がないから。
八方塞がりだった。
このまま独りで耐えるしかない。
最初のコメントを投稿しよう!