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教室だけのいじめが、その出来事がきっかけで学校全体に伝染した。
体育の授業を拒否する生徒がほとんどを占め、プールの水を入れ替える事態にまで発展。
ほとぼりが冷めるまで一時、授業はおろか水泳部まで活動を停止した。
それからというもの、私が歩く廊下はたった一人の大名行列。自然に道が拓けて、皆が口々に「菌」と呼んだ。
このときが一番辛かったかな……。
女であることを恨んだ初めての瞬間だった。あんなにも心待ちにした夏休みは後にも先にもない。
信じていた。世間を賑わすニュースのように、ある程度時間が経てば、何事もなかったように消えると。
1カ月半もある。その間に次の興味が生まれて、元の関心が薄れ、私は今まで通り質素に中学生活を送れるだろう。
この希望を胸に抱いて、1日も休まずに学校へ行った。
休むのは、いじめに屈した証だから。
自分でもここまで【忍耐】という言葉が似合う人間だと思いもしない。
幸い、精神以外は傷つけられることなく夏休みを迎え、連続猛暑日更新!とか巷は騒いでいたけれど、私にとってはとても過ごしやすい日々だった。
3分の2を終えた時、私自身が世間を賑わせてしまった。
人口上位1%の知能指数を有する非営利団体の会員になったからだ。
暫定値でIQ200。
現在最も偏差値が高い日本人と称して、それはもう取材が殺到。
だけど私はこんな性格だし、母もできるだけ人目に触れないように生きているから、すべてを断った。
むしろ、注目されることに頭を抱えてため息をついていたから、悪いことをしたなとすら思っていた。
それが功を奏して、2学期がはじまる頃には小康状態となり、以前のように慎ましく通学することができた。
不安でいっぱいだった廊下も、違った意味で道が拓けている。
??ザワザワ。
『ヤバイよね……』『アインシュタインより頭いいらしいぞ!』
『友達になっとけって!』
ザワザワ??。
こんな様子だから、若干の期待はあった。
しかし、元々眼中に入れていなかったという強がりと、「菌」呼ばわりした後ろめたさで、声を掛けてくる者はおらず。
それに、このことはアイツらを焚きつけてしまう形になった。
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