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『ちょっと来なよ』
早々に、あの3人組が私を呼びつける。
女子トイレで壁を背にすると、
『あんたさ! 頭良いからって調子に乗ってない?』
『ほら、その偏差値で今すぐ私たちにやめさせてみろよ゛!』
チヤホヤされているのがよほど気に入らないのか、ふたりは1学期よりも威圧的になっていた。
『…………』
『お゛い! なんか言えっ゛!』
『……ご、ごめんなさい』
『チッ、誰も謝れなんて言ってねぇ゛んだ、よ゛ッ!』
『う゛!』
腹部に痛烈な刺激。初めて、人に殴られた。
『うぅ゛……』
『肉が多いから痛くないだろ?』
『大袈裟なんだよ゛!!』
『ッ!』
ふくらはぎの裏側を蹴られ、バチンッという破裂音。
あまりの痛みに脚を抱えてうずくまる。
『立てよ、お゛ら゛!』
頬に20数㎝の衝撃が走ったとき、
『顔はやめな!』
いつも後ろにいるリーダーがやっと声を出した。
『今日はこんぐらいにしてやるよ!』
『あんまり調子乗んな、デブが!』
捨て台詞を吐いて出ていく湯之下美佐子と梅田はるか。
ひとり残ったあの女は、
『大丈夫ぅ? 痛かったでしょ?』
と、髪を鷲掴みにして後ろへ引く。
そして、冷酷な笑みを浮かべながら、
『楽しい新学期がはじまったね!』
そう言った。
冷たいタイルの地べたに座り、小さい窓から見える青空を眺めながら粛々と思う。
何も意味は無い。IQ200なんか。
難解な数式が解けても、論文の矛盾を突けても、いじめを終わらせる方法がわからないのだから。
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