第3章 大貫 幸恵

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こんなに痛くて苦しい遊びじゃなかったはずだ。 目を閉じて唱えていると、小さい頃に上村くんと遊んでいた公園を思い出す。 だが現実は、 『い゛! ッっ゛っつ……』 着実に増してゆく痛み。 『まだまだぁー!』 『早くやれよ゛!』 あいつらは射程距離を縮め、恐怖心で私の足はすくむ。 次に振り返れば、石で殴られているのとほとんど変わらない。 『ダ……ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・ン・ダ』 『そりゃ!』『ほい!』 『キ゛ャ゛!』 あばら骨が悲鳴を上げ、立っているための気力を瞬時に削ぐ。 急激に下がる体温。凍てつくような寒さの中で、顔全体に脂汗が滲む。 経験のない私に身体が教えてくれている。骨にヒビが入ったのだと。 『う゛ぅ゛う゛っ゛……』 『キャハハハッ』 『フハハハハッ』 悶絶する私の姿は、悪魔たちにとって唾液も滴るほどの有り様に違いない。 『ね~え? もうやめてほしいー?』 『く゛ッ……』 『ま、やめないケド!』 このとき初めて、“死”というものが頭をよぎった。 キン― コン―     カン― コン― 『ぁ……』 救いの音がして、私は雪の上に横たわる。 『あ~ぁ、終わっちゃった』 『すっごく楽しかったのにー』 『行くよ』 薄れゆく視野。あいつらは悪びれる様子もなく去ってゆく。  
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