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こんなに痛くて苦しい遊びじゃなかったはずだ。
目を閉じて唱えていると、小さい頃に上村くんと遊んでいた公園を思い出す。
だが現実は、
『い゛! ッっ゛っつ……』
着実に増してゆく痛み。
『まだまだぁー!』
『早くやれよ゛!』
あいつらは射程距離を縮め、恐怖心で私の足はすくむ。
次に振り返れば、石で殴られているのとほとんど変わらない。
『ダ……ダ・ル・マ・さ・ん・が・コ・ロ・ン・ダ』
『そりゃ!』『ほい!』
『キ゛ャ゛!』
あばら骨が悲鳴を上げ、立っているための気力を瞬時に削ぐ。
急激に下がる体温。凍てつくような寒さの中で、顔全体に脂汗が滲む。
経験のない私に身体が教えてくれている。骨にヒビが入ったのだと。
『う゛ぅ゛う゛っ゛……』
『キャハハハッ』
『フハハハハッ』
悶絶する私の姿は、悪魔たちにとって唾液も滴るほどの有り様に違いない。
『ね~え? もうやめてほしいー?』
『く゛ッ……』
『ま、やめないケド!』
このとき初めて、“死”というものが頭をよぎった。
キン― コン―
カン― コン―
『ぁ……』
救いの音がして、私は雪の上に横たわる。
『あ~ぁ、終わっちゃった』
『すっごく楽しかったのにー』
『行くよ』
薄れゆく視野。あいつらは悪びれる様子もなく去ってゆく。
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