第3章 大貫 幸恵

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病院のベッドの上で目が覚めた。 傍らには畑山がいて、いかにも心配そうに私を見ている。 たまたま隣にいた看護師が主治医を呼びに行き、ほどなくして先生がやって来た。 『聴診器を当てますね』 阿吽の呼吸でカーテンが閉められ、畑山は焦って鞄を持つ。 『私は外に!』 『ダメです! 先生も見てください』 主治医は私に同意を求めた。 『いいね?』 何をしようとしているのか読み取り、無言でうなづく。 『服を上げて』 『…………』 指示通り、人前で初めて服の内側を晒す。 『っ……』 半分は包帯、肌が見える部分はアザだらけ。そんな私の身体を見て、畑山はすぐに目を背ける。 『先生、どう思われますか?』 厳しい視線を送る主治医。将来の選択肢に医者を入れた瞬間だった。 『が……学校に戻らないといけないので私はこれで!』 場所が変わろうと関係なく、またも逃げだす。 でも、お灸を据えるぐらいにはなったはずだ。 『こんなになるまで……キミもだ!』 それは、私にとっても。 『はい……』 次の日、畑山は校長を連れて病室に現れた。 優秀だの皆勤だのあーだこーだ言っていたが、要約すると、残り約2カ月学校に来なくても卒業の資格をもらえるらしい。 さすがは評判がものを言う名門私立中学。私を目の上のタンコブ扱いしたのだ。 『それと、これ……』 帰り際に畑山が差しだしたのは、いくつかの高校がリストアップされた1枚の紙。 少しでも担任らしいことをしたつもりか。 このタイミングは、「早く出て行け!」と言われているような被害妄想的強迫観念を生んだ。  
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