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病院のベッドの上で目が覚めた。
傍らには畑山がいて、いかにも心配そうに私を見ている。
たまたま隣にいた看護師が主治医を呼びに行き、ほどなくして先生がやって来た。
『聴診器を当てますね』
阿吽の呼吸でカーテンが閉められ、畑山は焦って鞄を持つ。
『私は外に!』
『ダメです! 先生も見てください』
主治医は私に同意を求めた。
『いいね?』
何をしようとしているのか読み取り、無言でうなづく。
『服を上げて』
『…………』
指示通り、人前で初めて服の内側を晒す。
『っ……』
半分は包帯、肌が見える部分はアザだらけ。そんな私の身体を見て、畑山はすぐに目を背ける。
『先生、どう思われますか?』
厳しい視線を送る主治医。将来の選択肢に医者を入れた瞬間だった。
『が……学校に戻らないといけないので私はこれで!』
場所が変わろうと関係なく、またも逃げだす。
でも、お灸を据えるぐらいにはなったはずだ。
『こんなになるまで……キミもだ!』
それは、私にとっても。
『はい……』
次の日、畑山は校長を連れて病室に現れた。
優秀だの皆勤だのあーだこーだ言っていたが、要約すると、残り約2カ月学校に来なくても卒業の資格をもらえるらしい。
さすがは評判がものを言う名門私立中学。私を目の上のタンコブ扱いしたのだ。
『それと、これ……』
帰り際に畑山が差しだしたのは、いくつかの高校がリストアップされた1枚の紙。
少しでも担任らしいことをしたつもりか。
このタイミングは、「早く出て行け!」と言われているような被害妄想的強迫観念を生んだ。
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