第4章 水嶋 辰巳

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沙奈から貰ったモノはこれだけではない。 僕は、例の本を何の気なしに開いた。 【伊達事件の真実】 不思議なもので、どんどんと引き込まれる。 それが感じられたからなのか、彩矢香は一言も話しかけてこなかった。 最後には、大橋敬太がどんな思いでこれを書いたのかがしかと読み取れた自分がいる。 ??パタンッ。 「ふぅ……」 「どうだった?」 呪われし禁断のゲームのバックボーンは、想像を絶する内容だった。 とにかく気分が重い。感想など考えられないほどに。 でも、ひとつだけ分かったことがある。 僕らは決して触れてはならないものに遊び半分で近づき、そのまま軽率に触れてしまったという事実。 とは言え、伊達磨理子という女性に深く同情はするが、黙って呪い殺されるのはまっぴらごめんだ。 「ぁ……」 突然、彩矢香はフロントガラスに向けてつぶやく。 それに、ポツリと応える雪の粒。 「雪だ!」 いまになって思い出す。今夜は大雪になると気象予報士が言っていたことを。 拓けた直線上に落ちる無数の雪が、やがて都会の明かりと溶け合う。 車窓から見えるその光景はとても幻想的で、ふたりしてしばし酔いしれていた。  
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