第4章 水嶋 辰巳

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都内有数の繁華街の一つ、池袋。 週の初めであることと天気もあいまって、ひしめき合うほどの人のはいない。 「まだ時間もあるし、何か食べようか」 「うん、そうだね」 街の真ん中にある割高なコインパーキングに車を停め、僕らは雪が降りしきる空の下に立った。 僕は後輪の辺りを覗きこみ、携帯を貼りなおす。 「何の目的で付けたのかな?」 その様子を怯えた表情で覗きこむ彩矢香。 「わかんねぇ……」 今のところ、それだ。 犯人を泳がせるための画策が終わり、足早に店を探す。 すぐ近くにあった、外装から洒落ていて、落ち着いた雰囲気のある創作居酒屋。 いかにもSNS映えしそうなメニューが店頭に並んでいたが、ただ単純に雪が服に浸みこむのがイヤで即決する。 「ここにしよう」 もちろん、レディーファーストを忘れない。 ??カランッカランッ。 「ありがとう」 暇を持て余していたのか、すぐに応対する若い女の子。 僕らを見るや、迷うことなく個室に通した。 彩矢香の好みを中心に注文し、お互いソフトドリンクでの質素な乾杯。 さて、せっかく時間があるのだから、車に追跡装置を取り付けた犯人を洗う時間に費やそう。 僕はまず、畑山に電話をかけた。 沙奈の言った「お友達」という観点では、先生が真っ先に除外される。 だが、この一連の事件に最も関与している人物であること、どうせ電話はつながらないのだから、一番目の捨て駒として最適だと思った。 『はぃ』 ところがどっこい、出やがった。 たった一言でもわかる。教壇に立っていた頃とはまったく違う声の張り。 『水嶋です。先生、釈放されたんですね』 『ぁ、あぁ』 直哉が殺された夜は第一発見者。亮平の時は重要参考人。はるかの件では被疑者。 そう簡単に拘留を解かれるはずがないのだが……。  
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