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『疑いは晴れたんですか?』
『一応、まぁそうだな。数日家から出るなと言われているし、外にはまだ刑事が張り込んでる。今日の夜にまた事件が起こるようなら、完全に疑いは晴れるだろう』
訊けば、昨夜は犯人から動画が送られてきたそうだ。
まだ息のあるはるかの映像と共に、星都中まで来いという内容のもの。
『じゃ、その動画のおかげで?』
『あぁ。私が殺して遺棄した証拠も無いしな』
それでも、声はめっきり弱っている。
人が自ら命を絶つときは、こういう雰囲気を醸し出すのかもしれないとさえ思う。
『水嶋、お前に頼みがあるんだが……』
畑山は言った。
もし今夜も動画が送られてきたならば、自分の代わりに行ってくれないか、と。
『先生、もう誰も死なないと思います。だから安心してください』
呪われし禁断のゲームについては何も知らない畑山。
『本当に? ホントか?!』
『はい!』
明らかに語気が高ぶり、こちらまで感化された。
とても演技とは思えない。
彩矢香は僕が通話を切るまで、料理に手をつけず待っていた。
「どう? 先生じゃなさそう?」
「……ぅ~ん。いろんな意味で、ハタセンじゃないかもしれない」
なんとかのカルパッチョをつまみながら、僕は次の候補を探した。
消去法でいくなら、彼女だ。
『もしもし』
『アカネ? ちょっと訊きたいことあってさ』
藪から棒に感も出さず、すんなりと受け入れる茜。
僕としては助かるけれど、なんだかその受け答えには距離を感じた。
『ありがと。もし美佐子が無事だったら、またみんなで集まろうな!』
『……そのことなんだけどさ、うちとはもう関わらないでほしいんだ』
『え!? 関わるなって、どういうこと?』
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