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ーーバタンッ。
「そうだ。群馬はどうだったの?」
助手席に座った美佐子は早速、エンジンをかける前に話を振ってきた。
僕はしょっぱなからアクセル全開で、呪われし禁断のゲームの信憑性を語る。
「ちょ、ちょっと待って! 呪いを信じろって言うの? マジでウケるんだけど。ナオヤはヤクザで、リョウはドラック。で、はるかは男に殺されたんだって。絶対!」
「…………」
もう、いいや。それでいい。
3時3分になれば身をもって理解するはずだ。
肝心なのは、あれを持っているかどうか。
「ミサコ、鏡ある?」
「ぇ。あるよ」
さすがは夜の蝶。外見はスパンコールのような派手さで、立てかけるタイプの大きな鏡を持っていた。
「それが必要になる。公園で見たアレが現れたら、鏡の中に映して割るんだぞ! いいな?」
こればかりは真剣に訴える。生き死にが懸かっているからだ。
「てか、チョー必死じゃん。やっぱり今日のタツミなんかヘ…」
「私からもお願い!!」
「へっ!?」
運転手のフォローに、ハトが豆鉄砲を食ったような顔をする美佐子。
いつも行動を共にしていた友達だからこそ、彩矢香の一言は別格なのだろう。
「わかった……」
僕が胸をなでおろしたその時、繁華街の喧騒から外れた一角にあるコインランドリーを見つけた。
時刻は2時41分。
この場所で例の時間を迎えそうだ。
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