第4章 水嶋 辰巳

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閉鎖的な空間は、時を余計感じさせる。 気分が高まる音楽に切り替え、ボリュームも上げ、午前3時からの戦慄を思い出させないように努める彩矢香。 さすがの美佐子も言葉少なめだ。 「でもさ、車の中って安全じゃない? すぐ逃げられるし……ほほら、鏡もある!」 彼女はフロントミラーを指さし、鏡越しに笑って見せた。 その顔が引きつっていることは黙っておこう。 12月19日 火曜日 AM3:00 洗濯機が稼働を終えるまで、あと18分。 そして、あの時間まであと3分。 AM3:01 たしかに美佐子が言ったことには一理あって、そんなに恐れはない。 煌々と明かりに照らされているし、狭い閉鎖的空間に3人もいる。 不思議だが、僕らとは関係のない人物が視界にいることもその一端。 AM3:02 「また寝てる。あのオジさん、かわいそうだね……」 彩矢香の慈悲と僕の感覚は、どうやらシンクロしているようだ。 そして??。 AM3:03 「「「…………」」」 全速力で走りだす脈拍。 「「「…………」」」 荒々しく波打つ鼓動が耳から抜ける。 ーー……。 息は上がるが、息を呑むジレンマ。 「「「…………」」」 誰も言葉を発しない。 殺伐とした僕たちとは裏腹に、快調なバックグラウンドミュージック。 AM3:04 ついに、美佐子が口を開いた。 「ほら! なーんにも起こらない!」 「……た、たしかに」 「ほんとだね……」  
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