祓い屋の話

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「そうか。ならば史也、おぬしとはこれで終わりだ」  ぶちぶちぶち!!  隼瀬がつかんでいたしめ縄が突然切れたかと思うと、すべてのしめ縄が音を立てながら消えた。隼瀬はつかんでいたしめ縄が消えたので体を支えていたものがなくなり、隼瀬の体はそのまま地面に倒れこむ。 「痛ぇ!」  倒れた衝撃で痛みはさらにひどくなり、傷口もさっきより開いてしまったようだ。流れ出してくる血の量が少しずつ増えているような気がする。なんとか上半身を起こすと隼瀬の目の前にオニの背中が見えた。 「ふ、封印が!」  隼瀬の場所からは史也の姿は見えていないが、声からして相当慌てているのがわかる。 「ではな、史也。オニを解放した哀れな当主として名を残すがいい」  オニは隼瀬を抱きかかえると、史也を突き飛ばし一気に走り抜ける。 「おのれえぇ!」  オニの背中から史也の叫び声が聞こえていたが、オニは決して振り向きもせず、そのまま前を向いて猛スピードで走り続ける。隼瀬は史也に切られた痛みと、今自分がオニに抱えられているという状況に頭が混乱していた。オニは屋敷につながる階段を登りきると、そのまま外へと飛び出し、屋敷の周りの塀を軽く地面を蹴っただけで飛び越える。 『もう、どうにでもなれ』  出血した量が思っていたよりも多かったのだろう。だんだんと気持ち悪くなり、隼瀬は意識を失った。
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