祓い屋の話

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「勝手に助けておいて無茶苦茶なことを言うな」 「ならば、己に喰われるしかないが?オニとの約束を違えた者は、ひどい最期だぞ」  隼瀬は金色の目に睨まれ、ごくりと唾を飲み込む。 「安心せよ。普段はおぬしの影に入っておくから、人から見てオニが居るとは思われんし、おぬしが困ったときは助けてやろう。オニは約束を違えん。それから」  金色の目が隼瀬の目の前に来た。隼瀬は驚いたあまり体がびくっとはねた。周囲が暗くて分からなかったが、オニは人の姿でいたようだ。間近で金色の目を見ると、妖しく見える。 「己の名を教えておいてやろう。己の名は大嶽丸(おおたけまる)。困ったときは己の名を呼べ、隼瀬」  オニは金色の目を閉じると、真っ暗な周りの風景に溶け込んだ。 「・・・強制じゃないか。でも、助けてくれたのか」  隼瀬は再び草の上に寝転ぶ。そして色々考えた。父上のこと、佐夜子のこと、オニが逃げ出した後どうなったのか、そしてオニである大嶽丸のこと。 「オニに憑かれた人間を『オニ憑き』っていうんだったか。どっちみち屋敷に戻るわけにはいかないな。しばらく、オニに協力して旅でもするか」  隼瀬は満天の星空を眺めながら、オニとの旅路を思い描いていた。
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