祓い屋の話

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「隼瀬、今日はお前にとって特別な日となる。お前が無事役目を終えられることを我は願っておるぞ」 「はい父上。お役目、きちんと果たしてまいります」  隼瀬は代々続く祓い屋の谷塚家当主である父、史也に一礼をすると、部屋を出た。 「隼瀬様」  部屋を出たところで谷塚家に使用人として働いている2歳年上の佐夜子が神妙な面持ちで待っていた。 「佐夜子、何かあったか?」  隼瀬は歩きながら訊いた。後ろから佐夜子もついてくる。 「隼瀬様、本当に行かれるのですか?」 「当たり前だ。次期当主である俺が行かなければどうする。それとも、俺では力不足だとでも言いたいのか。確かに佐夜子の方が祓い屋としての実力も経歴も上だ。俺とは違って、佐夜子は天才だし、俺が祓い屋を手伝う前からすでに父上と共に働いていたからな。父上も佐夜子が我が子だったらといつもぼやいている」 「当主様は幼くして親を亡くした私を引き取ってくださり、隼瀬様を守るために祓い屋としての必要な術を教えてくださったのです。私はこの家の使用人で、隼瀬様の護衛。隼瀬様の身を案じるのは当然のことです」
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