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「ふん、いつものお決まりのセリフか。祓い屋の師匠であるお前の中じゃ、俺はいつまでも子どものままか」
「隼瀬様は今年20歳を迎えられ、祓い屋として実績を積まれて早数年。いつもなら特に心配することはありません。ですが、今回のお役目は――」
「佐夜子。今回のお役目を無事果たし終えた時、俺は当主になることになっている。それに、これは成人の儀として当主になる者が、必ず通らなければならないことだ。周りにも正式に当主だと認めてもらうためには必要なお役目だ」
「もちろん、それは私も存じ上げています。そのため、今回私は護衛の任につくことが叶いません。隼瀬様のお力だけでも十分お役目を果たせるとわかっているのですが・・・」
隼瀬は鍵がかけられた扉の前に着くと、鍵を開けた。
「役目を果たし終えたら佐夜子、お前には俺が一人前の祓い屋としても認めてもらうぞ。俺はいつまでも、お前に守ってもらうわけにはいかないからな。だから、使用人としてではなく師匠として、生意気な弟子に一言何か言ってくれ」
佐夜子は隼瀬の握っている手が少し震えているのが見えた。
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