1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ほう、睨み返せるだけの度胸はあるのだな。まあ、史也の倅が1人で来たということは、コレを祓うてくれるのか」
オニが意地悪い笑みを浮かべたかと思った瞬間、
ヒュウ、ぶわっ!
オニの背後の暗闇から無数の手のような影が隼瀬に襲い掛かって来た。
「っくそったれ!」
隼瀬は地面を強く蹴り、飛び上がる。隼瀬がさっきまでいた場所を影が通りすぎると、影は方向を変え隼瀬に向かってきた。隼瀬は懐から小刀を取り出し刀を抜くと、襲ってきた影を落下していく体の重さを利用して切り裂いた。けれど、まるで水を切っているような感覚しかなく、隼瀬の体が重力に従い落下していくだけだ。
『全然切った気がしない!やっぱりただ切るだけじゃ無理か』
地面に着地した隼瀬は素早く上を向く。影は隼瀬が小刀を使って切り裂いた部分は一時的に裂けていたものの、すぐにもとに戻っていた。
「倅の力はこの程度か?邪気を早く祓わねば、飲み込まれるぞ?」
オニは相変わらず意義悪い笑みを浮かべているだけだ。隼瀬は意地悪い笑みにイラっとしたが、目の前の手の形をした影を何とかしなければまずい状況なのは事実だ。
最初のコメントを投稿しよう!