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上京した兄が一人暮らしになり、長い休みのたびにわたしが訪ねていくと、今度は義親の目がなくなった開放感で、昼となく夜となく時間を忘れて抱き合った。
初めての夜はまだ固くて青臭かった乳房は柔らかくたわわに実り、兄は赤ちゃんのように妹のわたしの乳首をちゅうちゅう吸った。
高校でのわたしは『おっぱいのでかい女子』として有名らしく、通学の電車ではしょっちゅう痴漢に遭った。高一の途中から同じ学校の彼氏と登校するようになってようやく、被害は収まった。
その彼氏とはキス止まりで終わった。
半年前に義親が相次いで亡くなった時、東京で就職した兄が地元に戻って葬儀やら煩雑な手続きをとりしきってくれ、わたしとすれ違いの続いた彼氏とは自然消滅みたいに別れた。
義親の住まいは処分し、高校を卒業したわたしはそのまま東京の兄のもとへ身を寄せた。
地元へは二度と戻らないつもりだ。
月齢からいって、わたしのお腹が大きく膨らみ目立ってくるのが卒業後になるのは分かっていた。
喪があけるまで待つつもりの兄が、わたしの妊娠を知った時の喜びようは大変なもので、クローゼットに隠した指輪をその場で取り出しプロポーズしてくれた。 血が繋がっていなくても、わたしたちは兄妹だ。養子縁組で同じ戸籍に入り、結婚したからといって婚姻届は必要ない。兄妹はもともと家族だから。
新居では、毎晩のように二人で一緒に入浴する。
湯に温まってあふれた母乳を飲むのが楽しみな兄は、こうしていると仕事の疲れが吹っ飛ぶと言って笑う。
妊娠してるから好きなだけ生で中出ししていいよとわたしが言うと、兄は本当に嬉しそうだ。
生まれてくる赤ちゃんは、戸籍でわたしの子どもになる。兄はきっといいパパになるだろう。わたしたちは夫婦で二人の赤ちゃんを愛し守っていく。
兄とお揃いの結婚指輪を左手の薬指にした、わたしはなんて幸せなんだろう。
(終)
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