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ある日の事、仲睦まじい筈の両親が激しい喧嘩をしていた。
僕は、両親の怒鳴り声で目が覚めたのである。
「うるさいなあ。お前は。しつこいぞ」
父はかなりブチ切れていた。
僕の父は、とある中小企業の社長をしている。
僕の祖父から受け継いだ会社であり、それを更にオートメ化し、拡大したのだ。
電子機器の製造がメインだった。
「だから、誤魔化しても駄目よ。貴方の浮気癖は一生直らないわね。本当に、信じられない。私を馬鹿にしてるのね」
母は真面目な性格で、所謂、良妻賢母なのだが、束縛が強い。
父の帰りをどんなに遅くても起きて待つ様なタイプだ。
父の事を始終管理し、チェックしている。
僕が見ていても、かなりしんどい相手だ。
それを「愛情」と言うのだが、むしろ、ほとんど「呪縛」に近い。
父は、いつも、毎日必死で働いて、あまり寄り道もせずに帰ってきているようだ。
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