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「だから、俺は、何も悪い事してないぞ。お前が俺を信じないだけだ」
父は力強い声で母を牽制していた。
しかし、母も負けてはいない。
「そりゃ、そうでしょ。貴方には前科があるんだから。それも二回もね。それをどうして信じろと言えるの？どうせまた繰り返すに決まってるわ」
「お前も、昔の事をまたいちいち蒸し返すんだな。前の女とも、前の前の女とも、とっくに切れてるだろうが。お前に見つかったから、きっちり別れただろ？これ以上何が不満なんだ？」
父は母に恩をきせていた。
そりゃ、そうだろ。どちらもいい女だったらしいから。父としても惜しかったに違いない。
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