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「僕、大学に行ってくるから」
そう言って急いで玄関に飛び出した。
すると、それより先に表に出た人間がいた。
きっと父に違いないと思ったのが、そうではなかった。
母だった。
「もう、我慢の限界だから、家を出ます。しばらく帰りませんので」
母はヴィトンの鞄に、生活費と通帳とハンコを詰め込み、エプロンのまま外に出た。
つっかけサンダルを履いて……。
「おい!おい!お前なにしてる?頭を冷やせ!こら!おい!」
父は唖然としていた。
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