第1章

6/28
前へ
/123ページ
次へ
「僕、大学に行ってくるから」 そう言って急いで玄関に飛び出した。 すると、それより先に表に出た人間がいた。 きっと父に違いないと思ったのが、そうではなかった。 母だった。 「もう、我慢の限界だから、家を出ます。しばらく帰りませんので」 母はヴィトンの鞄に、生活費と通帳とハンコを詰め込み、エプロンのまま外に出た。 つっかけサンダルを履いて……。 「おい!おい!お前なにしてる?頭を冷やせ!こら!おい!」 父は唖然としていた。
/123ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加