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俺は、慌てて切り裂いた気密隔壁の残骸を盾にしたが、すべてを防ぎきれるわけもなく、装甲強化服の内部に着弾音が響いた。
廊下の壁面が銃弾に抉られ傷だらけになった。
しかし、敵の小銃の威力は弱く、装甲強化服を着た俺たちは幸いなことに何のダメージも受けなかった。
「無駄な抵抗はやめて直ちに降伏しろ」
俺は外部スピーカーをオンにして叫んだ。
それに対する答えは再度行われた自動小銃による一斉射撃だった。
多少威力が弱いとはいえ、このまま自動小銃の銃撃にさらされ続けて全く無傷というわけにはいかないだろう。
仕方なくダンが自動小銃を斉射した。
敵兵は鮮血を飛び散らせて次々に倒されていった。
赤い血がシャボンのように漂い、乳白色だった廊下は敵兵の血痕で赤くまだらに染まった。
結局、降伏した敵はいなかった。
『テツ、まずい事態だ』
俺が吐き気を我慢し、暗澹たる気持ちで廊下を漂う敵兵の死体をかき分けて先に進んでいると、通信機がユリの声を運んできた。
「どうした?」
『キニスキー准尉の索敵によれば、敵の強襲揚陸艦が強行突入艇を発進させた。目標は恐らく我々だ』
確かにまずい事態だ。敵兵のことを思い煩っている場合ではない。
『ボクはとりあえず外に出て迎撃しようと思う』
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