ちいさなしんせつ

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ちいさなしんせつ

西のはずれのサバンナに大きくて力の強いライオンがいました。 ずる賢いライオンは、傷ついたシマウマや子供のガゼルなど特に弱いものを狙っては襲いました。 弱いものが「食べないで。」とお願いししても大きな口でガブッと一気に食べてしまいます。そしてお腹いっぱいになると、決まって見晴らしのいい場所でお昼寝をするのでした。 その日も、2頭のシマウマの赤ちゃんとお母さんシマウマを食べたあと、ライオンはあくびをしながら気持ち良さそうな寝床を探して歩いていました。すると、何やら不思議な形の岩が目に入りました。 頭でっかちの大きな岩は、下の方が細くとがっていて、今にも倒れそうに「ゆうら、ゆうら」していました。 ライオンは、 「おや、まるでゆりかごのように気持ち良さそうな寝床があるぞ」 そう言って、ひょいと岩に飛び乗り丸くなりました。ライオンの重みで、岩はなおさらゆうらゆうら。 本当の揺り椅子のように、気持ちよくなったライオンはあっという間に眠ってしまいました。 そこへ一匹の旅のネズミが通りかかりました。 ネズミは、他の動物たちが安心して生きられるように、いろいろな植物の種をあちこちに植えては場所を変えてここまで旅をしてきました。 「やあ、やあ、なんと危なっかしい。あんなに揺れている岩の上にライオンが寝ているぞ。あれは、きっとライオンが寝ていることに気がつかないまま、象が牙を研ぐのに削ってしまったんだな・・このままでは崩れてしまってライオンは大怪我だ!」 そういうと旅のネズミは、ライオンの寝ている大きく揺れる岩に駆け寄って、なんとかライオンを助けてあげようと、垂れ下がる尻尾をつかんで、揺れが大きくならないように引っ張りました。 ネズミの親切なおこないで、今にも崩れそうだった揺れは小さくなりました。 旅のネズミも、ホッと胸をなでおろしました。 その時、尻尾を引っ張られ、気持ちよかった揺れもおさまった事に気づいたライオンが目を覚ましました。 「おい、俺を起こしたのはお前か?3時のおやつには丁度いい大きさだねぇ。」
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