給湯室

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「広瀬さん!?」 蓮の登場に驚く波の肩を掴んだ後輩はグイと彼女を自分へと引き寄せる。 蓮は挑戦的な眼差しを上司に向けた。 「この人口説こうとしても無駄ですよ。俺に惚れてますから」 「…あ?」 眉を歪める上司に、昨日、この後輩と何があったか知られたくない波は慌てて手で蓮の口を塞ぐ。 「私の事盛大にフッといて今更何云ってるんですか!?」 彼女の手をずらしながら発言する蓮は顔を顰める。 「ハ?何云ってんの?いつ俺がアンタ振ったよ」 「そんなの!あれだけ悪口並べられたら何も脈も無い事ぐらいわかります!!だから私、広瀬さんの事は諦めるって決めたんです」 「ひとりで結論出してんじゃねーよ。俺ァあの後でアンタに惚れたの」 「はァ!?」 口論を始めたふたりに紅はひとり不思議そうだ。 「『あの後』って何時の事だ広瀬」 「昨日の夜、部署内でチューした後です」 「広瀬さん!?」 サラリと真実を答える蓮に、波は真っ赤だ。 紅は蓮の胸倉を掴み上げる。 「お前、嫌がる古村さんに無理矢理したんか」 怒気の宿る瞳を向ける上司に蓮は平然としている。 「無理矢理じゃ無いっすよ。合意の上です。むしろ俺がされたっつーか…だよな?」 蓮に同意を求められた波は恥ずかしさのあまり涙目になっている。 羞恥心に耐えてる波の様子に、蓮が嘘を云ってい無いと紅にも伝わった様だ。
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